梅佳代先生

そろそろ本気で人気のでてきた梅佳代の観察力は動物並みである。あの眼で観られるのが気恥ずかしいので、待ち合わせをするときなんかは、僕が梅さんを見つけるように意識を集中する。でも気がつくと、だいたい先に見つけられていて、カメラがこっちを向いている。気がつけばすでに餌食になっている。トラに首筋を噛まれ身動きのとれないカモシカのように、あ〜、とあきらめるしかない。そんなオモロいところに立っとんねんも〜ん、ホホホ、と言われてはじめて自分が妙な看板の前に立っていることに気がつく。ほめられたような、はめられたような。そんな梅さんが木村伊兵衛写真賞を受賞した。その授賞式、スーツ姿に埋め尽くされた会場を映画で見る70年代の銀座クラブのママのような華やかさで蝶のように舞う梅さん。首からはちゃんとカメラがぶらさがっている。舞台に用意された椅子に座る受賞者梅さんと本城さんに向け、篠山紀信さんが祝辞を述べる。梅佳代はおもむろに椅子を離れ、中腰で篠山さんに接近し、下のほうから激写はじめる。自分の足下まで迫り寄ろうかという勢いの梅佳代を目で追いながらも篠山紀信さんも動揺することなくスピーチを続ける。みなさん流石、というよりコントやで。

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