February 2005アーカイブ

母親に家族で土星を見に行かないか、と誘われる。近くにあるこども科学館で、土星の映像がNASAからの中継で上映されるという。最年少が僕というメンバーでこども科学館もどうかと気乗りせぬまま問い合わせてみると、もう満席とのこと。たまらなく土星が見たくなる。

束の間の雪国生活。雪国だけあって、床暖房が24時間ついているのでTシャツに裸足でいれるのがありがたい。日本はどうしていつまでたってもセントラルヒーティングが普及しないのだろう。クーラーもつらいけど、あの空気だけ暖まった部屋や寒すぎる部屋はつらすぎる。この辺りには、温泉もたくさんあるのでありがたい。県境を越えてすぐの鹿沢温泉の紅葉館は風呂場も道のりも笑ってしまうほど秘湯そのもの。そして、館内がとても寒いのは外から見てもわかる。押しつぶされそうなほど屋根に雪は積もり、氷柱で看板も見えない。この前行ったトンボの湯は軽井沢だけあって、かなりかっこ良くデザインされている。でも脱衣所やサウナでジャズがかかっているのはいかがなものか。それに低温赤外線サウナでもないのに温度が80度って、フィンランド人なら怒る。110度を保つ神戸サウナに誠意を感じる。風呂の温度に文句をつけだすとは年をとりましたかな。

日本ではじめて変異型ヤコブ病の死者が確認された。イギリスに1ヶ月しかいなかったのに本当にお気の毒。僕はもう30年近く牛肉を食べていない。イギリスでも20年間、牛肉は一口も食べていない。でも日本では献血も臓器提供も許されない。イギリスではベジタリアンの女の子も発病しているので、牛肉を食べていなくても発病の確率は0%ではない。気付かぬうちに、肉より危険とされる牛の脳か脊髄の一部がソースに使われたか紛れ込んだのだろう、という記事を読んだ覚えがある。初期症状のひとつに性格や精神状態の変化があるらしいので気がついたら教えてください。10年ほど前に1年半ロンドンで一緒に暮らした巨大で肉食の弟は、売上が落ち込んだ牛肉が3割引のセールをしていたころまでは自粛していたものの、半額になった日には我慢も限界に達し、解禁を宣言し、その日からは牛肉三昧の日々だった。覚悟はしているはず。

雪もやみ、空が明るい。凍結していた道のアスファルトも乾いているので、3日振りに外出。完全防備で図書館まで1時間ほど歩く。車道以外はまだ真っ白で雪が反射して目は寝起きの半開のまま。浅間山も中腹まで雪をかぶり、白煙を噴いている。空気がキーンと冷たく、鼻から入る冷気が脳を突く。北欧の冬のようで、ちょっと気持ちいい。太陽は眩しいのに気温は氷点下。

iBookで音楽を聴きながらメールを書いていると、クラフトワークの「ナンバーズ」の終わりと少年ナイフの「亀の子束子のテーマ」のイントロの数を数えるところがかぶる。うおおお、かっこええ。iTuneのシャッフル機能(ランダムに選曲してくれる)にクロスフェード(フェードインとフェードアウトがかぶる)を最大の12秒にしているだけのことやけど。意図のない偶然の仕業だけに興奮してしまう。こんなとき、コンピューターに人格を感じる。また偶然聴きたい。

初めて来るのになぜか懐かしい、見たことのある風景。デジャブなんかではない。昔、「花椿」に書いたインドに関する原稿でこの街の写真が使われたことをNASAという名の宇宙系のバーの前を通り思い出す。PLANET MというCD屋さんも自分の原稿の写真で知っている。名前に負けずインドにしては大きなCD屋。麓のために探していた南インドのカナーティック音楽の歌姫MSシュブラクシミのCDが並んでいるので何枚か手に取って品定め。でも、麓にはホテルの前のCD屋でリメンバー・シャクティのCDを買ってしまったで、やっぱり全部棚に戻して店をでる。その2時間後、MSシュブララクシミはチェナイの病院で亡くなった、と翌日のタイムス・オブ・インディア朝刊で知る。びっくり、というよりドッキリ。ナイチンゲールと呼ばれたMSの歌声が頭から離れない。