仕事帰りで誕生日のモリナホが『8月のタイ』の設営作業を手伝いに来てくれる。僕のphsもこの日が誕生日のはずだったが、狂いだしたので、初めての誕生日を待たずして数日前に処分された。人並みにケータイに変えようと思いきや、OPERAブラウザーが付いた人気の京セラ3001Vの在庫が1台あったので(人気のあるシルバーではなく白)やっぱりphsにする。その上、台湾とタイで国際ローミングできるとは僕のために作られたような電話。料金を比べてもイギリスのケータイをローミングするよりも数段安い。でも、実は電話はあんまり好きではないねん。
August 2004アーカイブ
プラープダーがやってくる。大阪ではなく神戸に泊まる。しかも、タムくんの家の近くのちょっと変わったホテル。夕方にそのホテルから遠くないトリトンカフェで展覧会のインスタレーションに関するミーティング。店員の女の子がいつもよりなぜかフレンドリー。どうもプラープダーのことを知っていたらしい。なんや。そして、プラープダーは展覧会で一番大事なものをバンコクに忘れてくる。なんやねん。
横浜美術館での展覧会が始まったばかりの米田知子と会う。久し振りにうどん屋でゆっくり話すことに。ここ15年位ずっと仲がよかったのに、なぜか喧嘩ばかりしていた気がする。そして、知子はすぐに泣いていた。分類すればキョーダイ喧嘩の類い。ほんの4、5年前でも雑誌のインタビュー中にも喧嘩になり、それはいまでもMDに記録されている。ここ数年、敬愛する気持ちは今でも変わらず、仲はいいのに喧嘩をしそうな気配はこの人との間には微塵もない。ちょっとはお互い成長したのか、それともお互い年を取って元気がなくなってきたのか。同い年の不思議な安心感。同い年といえば、きょうは宮田の誕生日。そして宮田の2駅先に住むよしもとばななさんの誕生日。それぞれ40歳。みんな一緒に年を取っている気がして勇気づけられる。grafに行くと文代さんの誕生日会をやっている。みんなおめでとう。
暑すぎるのでロープウェーに乗って六甲山を越え、有馬温泉に避難する。テレビによると今日東京では39.5度を記録し、世界で一番暑い首都らしい。有馬温泉の赤茶色の金泉は42度と東京よりも熱い。もっと熱いサウナにも入る。六甲山頂駅の温度計は24度。下界より10度も気温が低い。ロープウェーは今日から夏の営業時間で夜景も楽しめる。表六甲から見える阪神間の夜景や大阪湾もすごいけど、裏六甲の景色にいつもながら興奮する。真下に見える木々は、まるでグラスボートから(スキューバできないので)ガラス越しに珊瑚礁を観ているよう。景色は風が吹くほどきれいに見えるらしい。たまたま乗り合わせた車輪を運ぶ技術者が「強風でロープウェーが運休になるかならんかぐらいが、そら一番きれいですわ。かなり揺れますけどねえ」と教えてくれる。かなり怖キレイそう。
今度はツアーではなく、京都大学で菊地成孔クウィンテットでボーカルをつとめるUAを観に行く。会場入り口の注意書きに「場内、40度をこえることもあります」というようなことが書いてある。入ってみると、40度どころではない暑さ。大友良英とのステージで、浴衣姿と涼しげなはずのカヒミカリイの顔が汗で光っている。危険を感じ、外にでて水分補給。うどんも食べて小麦粉補給。夜になって、UAのでるステージになっても会場はサウナ状態。みんなの汗で湿度も高そう。スティームサウナ状態。それも大勢で服を着て。ZAKのライブダブはまるで高熱でうなされながら、意識が音に翻弄されているようで気持ちよく、危険。ダムタイプのストックホルム公演で池田亮司の音楽を「健康上、危険」と音量を下げるように指導したあのスウェーデンの保健所の職員がこの会場をチェックしたらどんな指導をするのだろう。会場外の救護テントでは倒れたひとたちが白衣の丈が短く化粧が濃いナースたちに看護されている。コスプレかと思ってた。
行くつもりにしていた横浜に行かなかった代わりにウ゛ァリエでフランス料理を食べる。とてもおいしい。そして、とても楽しい。西洋の料理は久しく食べていなかったことに食べて気がつく。なにより生野菜が恋しかった。横浜に行けなかった気持ちが少し慰めされる。
全英オープンがはじまる。今年の舞台はスコットランドのロイヤル・トゥルーン・ゴルフ場。丸山を応援しているわけではないし、ゴルフにも興味はないけれど、朝方までテレビの前でかぶりつき。スコットランドで行われる本場のゴルフは、アメリカや日本のゴルフとは全くの別物に見える。海が近いので風が異常に強く、芝の状態も自然に近い。自然を相手にした、野性味あふれるスポーツにすこぶる興奮する。あんなに風が強い場所で、あんなに遠いところから、あんなに小さいボールを打って、あんなにちいさい穴に真剣に入れようとするゴルファーたちはスポーツマンというより、変人にしか見えない。そして、たまに変人たちが神業か魔術としか思えないような技を見せてくれる。ハリポタファンも必見。実は、このゴルフコースから歩いて数分の元貴族が所有するお屋敷が僕の最初の仕事場であった。15年ほど前、ロンドンの大学を終えた翌週から1週間の間、僕はこのお屋敷の主人となった。スコットランド人の執事夫婦とロンドンから連れてきた日本人シェフとトラック一台分の食材が用意された。全英オープン開催中、お客様をここで迎え、日本食とアフタヌーンティーを振る舞った。学生の身分ではあまり見る機会のなったイギリスの階級社会の反対側と80年代終わりのバブリーな世界がこの1週間、僕の目の前で展開したことを、柿ピーをつまみながらテレビの前で思い出す。
早朝に関西空港で無事通関を済ませた作品が、午後にはもう中之島4丁目のgrafに届いている。中之島2丁目のフェスティバルホールにはUAがツアーで来ている。5月に京都で観たツアー。夕方、チアコとモリナホと3人で科学館の前のベンチに座って、やっぱり観たいなあ、ということになりソクラテスの不揃いのケーキを手土産にフェスティバルホールにでかける。『踊る鳥と金の雨』ではイントロから震え上がるほどに高揚する。この曲に限らず、京都に比べてもかなりいい感じ。フェスのステージには何かが居るとみんな言う。坂本龍一さんは極度の眠気に襲われると言っていた。UAは霊とかではないけれどフェスは生き物や、と言う。今日はかなりフェスのステージが後押しするように応援してくれたからリラックスして歌えたらしい。僕も2階の後ろの方からかなり応援した。来週の京大でのイベントにも誘ってくれ、また観ることができるような。
とうとうバンコク最後の日。用事が済んでいないのでどうも朝からソワソワ。まずは、PODとランチをして、彼のお父さんが写真屋に持って行って引き伸してくれたという筒に入った作品を無事受け取る。残りの用事を済ませるにはホテルに戻っている時間がないので、そのままセントラル・デパートの文房具売り場に直行。展覧会の案内状とgmの誕生日カードの切手が郵便局では足りないので、残りの切手とAIR MAILのハンコをあるだけ買う。MRTの駅と繋がるセントラル・デパート3階までエスカレーターで降りると、紳士服売り場でとてもいいズボンと出会ってしまい、そこで事件は起きる。僕はその事件には気付くことなく、カード書きと切手貼りに励もうとホテルの部屋に戻る。そこでやっと気がつく。僕は手に筒(PODの作品)を持っていない。思わず、変な声がでて、血の気が引く。暑さと疲れでボーッとしていたのは自分でも分かっていたし、ドローイングやオリジナルの作品なら一旦ホテルに帰ったに違いない。頭のどこかで「印刷物」と気軽に考えていたのだと思う。PODと写真の作家のみなさん、ごめんなさい。信頼を取り戻す第一歩として、とりあえずいい展示をしないと。そして、ズボン売り場のおばちゃん、作品を大事に保管していてくれてありがとう。罪滅ぼしの業のように、空港のラウンジでカードにひたすらAIR MAILのスタンプを押し、記念切手を貼り続ける。
今夜はオープニングがいくつかある。まずは、TADUでフランスの写真月間関連の展覧会。British Council Tokyoにいたこともあるジェニーを見つけ、びっくり。4月からバンコクオフィスにいるらしい。益々バンコクが面白くなる予感。Nuts Societyと合流して、作品のチェックをしながらABOUT CAFEのHERE AND NOW展にでかける。ここがものすごいことになっている。ABOUT CAFEを中心に数カ所のベニューで展覧会が行われている。エイズ会議に会わせて、この辺りかなりピンクになっている。歩いても数分の各会場をピンクのリボンを付けたゴルフ場のカートに乗って、キャディーのおばさんのコスプレをした女の子たちが運転して連れて行ってくれる。屋台の汁麺屋もピンクに塗っている、というか塗られている。なんと言ってもきわめつけは、ガラス張りの角の建物の1階を占領した、ピンクの風呂屋。アンクリットが水風呂でからだを洗ってくれるという作品。この辺りは中華街の外れで、娼婦街。タイ人は恥ずかしいらしく、参加者がいない。僕は暑くて仕方なかったので、よろこんで洗ってもらう。するとみんなカメラやビデオを持って集まってくる。かなり気持ちいい顔を撮られまくる。最後にタイの天花粉プリックリー・ヒートをからだ中に塗ってくれる。これがまたスースーして痛いくらいに涼しくて気持ちいい。さっそく薬局で買い占める。帰りの地下鉄でタイの女の子はポニーテールが多いことを発見。今まで気がつかなかった。最近、長髪のトヨシマくんが髪の毛をアップにしていたのを思い出して、気がついた。暑いからポニーテールのひとが多いのかも。女の子なら常識かも。男はこんなこと知らない。普段、まったく気にしないから。それより、帰りと言っても国際エイズ学会がはじまるのでバンコクに人が集まり、ホテルがまだ取れてない。今晩どうするよ?
早朝からアンクリットとバンコク・ドンムアン空港にモンスターに会いに行く。気合いは充分。国内線カーゴの倉庫からフォークリフトで3体のモンスターが続々でてくる。木枠だけなので4方から姿が拝める。通りかかりの職員たちも立ち止まって呆然と見つめる。思わず写真を撮っているひともいる。僕もアンクリットとモンスターを記念撮影(www.home-room.org/blog/soisabai のstop press6)。輸送の方は、運送会社も飛び込みの短距離は相手にしてくれないので、アンクリットが通りかかりの荷台の空いた軽トラックを止めて、交渉している。結局、見知らぬ夫婦が数百円で国際線カーゴまで3往復してくれることに。ありがたい。でもここから大阪までが遠い。国際線のカーゴはまるで巨大な魚市場。どこの誰に話したらいいのかも分からない。そして、何より暑い。滑走路の横なので、近くに飛行機がいてうるさい。アスファルトからは湯気がでている。熱でフラフラするので、従業員に混ざって食堂で水を飲んで、アンクリットが頼んでくれたよくわからない物を食べる。PODの写真にある鶏の足のつま先がたくさん入っている。タイ国際航空のカーゴに駆け込んで、「コレヲオオサカマデオネガイシマスウ」と値段も聞く元気もなく情けない顔でお願いすると、正規料金で高いからディーラーを回って値段を比べるといいよとアドバイスを受ける。他の会社も安くはない。アンクリットがダメもとで港で働く義兄を通して海運業者に問い合わせると、もし明日の荷積みに間に合うと、展覧会開幕までに大阪に着くとのこと。でも、今日中に輸出手続きを終わらせないとムリとのこと。誰に聞いても金曜の午後の今からでは難しいらしい。直接、市内の事務所に出向き、一切の輸出手続きを200ドルで代行してもらう。それを足しても、飛行機で送ることに比べれば30万円以上安い。モンスターをバンコク港に移す手続きをして、モンスターたちはやっと僕らの手を離れる。次に会うのは、大阪の中之島。アンクリットとバイクタクシーに3人乗りして、高笑い。1日かけていい勉強させてもらいました。そして、アンクリットに感謝。笑ってばかりもいられない。ホアランポーン駅ではPODが待っている。駅の構内で国際エイズ会議の関連イベントのファッションショーに出演するPODと駅の待合室で展覧会用の写真選びをする。ほんの数分話した後、テレビのクルーと高校生のファンたちにPODは取り囲まれ、連れ去られる。ArmchairのAUN(細くてかわいいのに、あだ名はデブ)もモデルをするらしく、女の子たちに囲まれている。呆然としていると、チャリティーイベントのゲームに誘われ、トントン拍子に勝ち進み、いろんな商品をもらう。ゲーム好きの子供たちは残念賞のフルーツ味コンドームをもらってよろこんでいる。今日はもうホテルに帰って寝ようと地下鉄に向かうと、ヌオウ(ネズミ)が電話で夕食に誘ってくれる。トンローの恥ずかしくなるくらいトレンディーなコンプレックスに連れて行ってくれる。僕らはTシャツにぞうり。バーと本屋とセレクトショップにレストラン。本屋とレストランの間には緑がきれいな中庭。食べ始めると、考えられないような量の雨が突然降りだす。その音も、湿っぽさも、突然さも、みんなの困った笑顔もなぜかしあわせな感じがあふれている。バンコクは乾期よりも雨期の方が気持ちいいと思う。
アンクリットが部屋に来て、作品輸送の作戦を練る。アンクリットが紙で作ってくれた大きな作品3体がバンコクの空港の国内線カーゴの倉庫にいる。国際線カーゴに移して、大阪まで送る手続きをとる作業。まず、国際線に移す手だてがない。どうするよ?タクシーなんかでは運べない。軽いけど大きい。とりあえず、パッキングの会社にエアークッションをたくさんオーダーして、梱包からやり直すことに。午後は、久し振りに洗濯をする。正確には、洗濯してもらう。バスケット一杯、洗濯と乾燥と畳んでくれて250円。この洗濯のおばちゃんとマッサージのおばちゃんを連れて帰りたい。3日に仮オープンしていた地下鉄にまだ乗っていなかったので、乗ってみる。バンコクのスカイトレインがそのまま地下を走っているという感じ。とは言ったものの、今まで距離は遠くないけど、歩くには暑すぎて、タクシーに乗っても渋滞と一方通行で辿り着くのに一苦労のエリアにスムーズに往復できて気分爽快。
買い付け組とはしばし別れて、まりちゃんとカミンのウモンに向かう。いつも突然行くのでびっくりされる。それでも歓迎してくれる。ウモンはもうギャラリーではなく何かすごいものになっている。瞑想センターも思ったより立派。ここにはいろんな時間が流れている。去年来たときは、一日一作家という慌ただしい日替わり展覧会が行われ、今はウモンとここから少し離れたランドに世界中から参加者が集う1年滞在プログラムが行われている。一見、穏やかな雰囲気がするけれど、ダラダラしているわけではない。彼らは本気に違いない。かなり、やる気にさせられる場所。まりちゃんもヨガに戻ってくるとカミンに約束している。チェンマイを去る前に、いい感じのイサン料理の食堂で昼ご飯を食べる。中か外か分からないこの感じがとてもいい。テレビの設置の感じもいい。フィリップの作品をここで観たい。テーブルではまりちゃんが餅米を上手に手で食べている。タイ人でもバンコクのひとたちは手では食べないらしい。まりちゃんは顔つきもバイクで去って行く後ろ姿もすっかりタイ人。それもバンコクではなく北部のタイ人。チェンマイでまりちゃんと別れ、バンコクのドンムアン空港で大阪に帰る香西さんと松井くんと別れ、ひとりになったのでスクンウ゛ィット通りの隣の路地にある少し安めのホテルに移ってみる。ちょっと味気ないけど、実はこのホテルの方がよかったりする。そういえば、きょうは七夕。
飛行機がキャンセルになって、チェンマイ到着が1時間遅れたのが今日のズレのはじまり。街外れのお目当ての店もちょっとの差で店を閉められ、郊外の川岸にあるレストランもラストオーダーまで時間がない。雨は降ってくるし、乗り合いタクシーの運ちゃんは道を知らない。何度レストランと電話で話しても、わからない。でも、夜から参加のまりちゃんの動じない姿とシトシト降り続く雨の音と匂いにイライラした気持ちも中和され、次第に呼吸も整う。チェンマイでは松井くんと相部屋にして、タマリンドの良い方の部屋に泊まることに。ベッドの距離がやたら近いのが気にならないこともない。僕がシャワーからでてくると、松井くんはリモコン片手にベッドに寝転びながらチャンネルをイタリアのRAI1に合わせ、イタリア語のドラマを観ている。よく見ると観ていない。寝ている。リモコンでチャンネルをザッピングしている途中、ちょうどRAI1で意識と手の動きを失ったのだろう。
トヨシマくんがバンコクを去り、松井くんたちの買い付けチームに本格的に合流。今日から数日間は制作モードから買い物モードに変わる。まったく違う種類のたのしみと大変さに少し疲れる。時間を見つけてやっと行きつけの一軒家のマッサージ屋に行ってみると、年中無休のはずの店が閉まっている。どうしたんやろう。この閉まり方は今日一日だけのものではなさそう。夜はシェラトンのBasilでウィちゃんに明日から向かうチェンマイの織物について教えてもらう。
11時にポンタウィーサックが「ジュエリー」というフラッシュで光る宝石の作品を持ってホテルにやってくる。今日も予想通り15分早い。電気系統もちゃんと説明書付きでとても几帳面。ホテルの部屋での電気系統のテストも無事合格!買い物嫌いのトヨシマくんが買い物からフラフラしながら帰ってくる。「暑っついですよ。路地歩いてたらねえ、目眩してねえ」とほとんど何も買ってない。ほんまに辛そう。アピチャポンには近所で会う。「トロピカル・マラディ」もとてもよかったので迷いなく会える。カンヌで賞をもらって忙しそうだったので展覧会の参加はあきらめていたのに、すごく面白がってくれて、作品を何か作ってくれるとのこと。彼にはいろんなオファーがあるだろうに、こちらからは何も提示できない企画に快く参加してくれるとはとても勇気付けられる。トヨシマくんの出発4時間前になって初めて買い付けチームと一緒に行動する。タムくんのお姉ちゃんシェリーに会いに、タムくんの実家にタクシーで向かう。シェリーはGreyhoundのレディースのチーフデザイナーをしながら、仲間たちとタイのハーブを使ってお茶やら石鹸やらを作っている。商談が終わると、川岸のレストランで20種類のタイ料理を振る舞われる。帰りには対岸までボートをチャーターしてくれ、対岸ではタクシーが待っている。なんという待遇。香西さん曰く、チェリーはヴィクトリア・ベッカムに似ている。でも旦那のヌオウ(ネズミという意味)はデウ゛ィット・ベッカムには見えない。
FUTONボーカリストのモモコさんとセントラル・デパートの上でランチ。タイではインディーチャートで1位になるようなエイティーズなニューウェーブ系人気バンドで、高校生とかにサインをせがまれるようなバンコクのセレブ。夕方にはチェンライからアンクリットがナムトン・ギャラリーにやってくる。今年からチェンマイ大学医学部に入って、将来は僕の主治医になってくれると言ってくれていたアンクリットの妹は医学部ではなく、バンコクのタマラート大学法学部に来ているらしい。医学部から間違いで不合格通知が届き、タマラートに方向変換した後に、医学部から謝罪の手紙と共に合格通知が着たという。チェンマイ大学のせいで老後の主治医を失う。すっかり気持ちを切り替えた彼女は最近銃に狂っているらしく、銃の話しかしてくれないらしい。所属はもちろん射撃部。一体、何に目覚めたのやろ?ボディーガードになってもらおうか。夜にはルンピニ公園の中にある会場でDeath of a SalesmanやFutonも出演するライブにアンクリットを連れてでかける。チェンライからやってきたアンクリットはコンサートを見るのが生まれて2回目と興奮状態。それも1回目は町内のイベントらしい。思ったより会場が大きく、人も多く、なかなか会場に入れない。アンクリットに上手いこと言ってもらって、あれよあれよという間に僕らがたどり着いたのは、全アーティスト共同の大広間楽屋。ステージの袖から会場にでてみると、後ろまで見えないくらいひとがいる。数十メートルあるスクリーンがステージと天井にある。プレスと関係者用にステージと客席の間に緩衝帯ができている。ふと見ると、アンクリットはプレスのカメラより前でリュックサックを背負ったまま写真を撮っている。ステージには昼間に自然光で見たモモコさんとはかなり装いの違うモモコさんがステージで踊り、巨大なスクリーンに映し出され、客を熱狂させている。アンクリットも踊っている。音楽に合わせてからだを動かすとどんな気持ちになるか、試していたらしい。気持ちよかったとのこと。この年になってこんな友達ができるとは素晴らしい。少し早めにルンピ二公園を抜け出して、アピチャポンがカンヌで審査員賞を取った映画「トロピカル・マラディ」の23時上映に急ぐ。ランチにパスタを食べてから何も食べていないのでマクド(ナルド)でフィレオフィッシュを3分間で食べる。タイに来て1度もタイ料理を食べなかった日。それにしてもアピチャポン、こんな映画よくぞ作ってくれた!時間の使い方が贅沢。午前1時半からの買い付けチームとのミーティング、香西さんは寝ていて電話にでない。きのう、マッサージ屋でトヨシマくんがマッサージされているのを見つかって以来、graf買い付けチームと会えていない。同じホテルに泊まっているのに、松井くんの姿は全く見ていない。トヨシマくんも内線で話しただけ。
海パンを持っている「さすが」の僕は、寝る前に決めた通り早めに起きて3階の露天プールで泳ぐ。トヨシマくんが「やっぱり、やめときますわ」と起きないのも予定通り。今日は大阪からgrafのショップチームがやってくるので、午前のうちに彼らの泊まるホテルに移って待ち伏せ。昼飯はPODと待ち合わせてオシャレな中華レストラン。酸っぱいスープと蒸した鶏はどこから見てもランチというより昼飯。うまい昼飯。鶏の足が路上に散らばった彼の写真を見ながら蒸した鶏を喰らう。うまい蒸した鶏。アリアンスでのフィリップとのミーティングは最短。メールで充分に詰めたので問題ナシ。これが一番上手いこといく。ナッツ・ソサエティとも同じカフェでデザインの作業まで済ませてしまう。トヨシマくんはマウスなしのラップトップでやりにくそうやけど。いよいよ本日のメインイベント、スティーの家にタクシーを1時間飛ばす。スタジオも家も周りも行く度に進化している。門が付いている。このリゾートホテルのような家(近所の人は映画のセットと思っているらしい)でいただく3回目の夕食。3回とも食べる部屋が違う。それだけ大きな家。今日はスティーとラッカナとトヨシマくんと僕の4人なので、ダイニングテープルで小規模に夕食会。ラッカナがタイ・スキヤキを作ってくれる。そして、「8月のタイ」には女性作家が入っていないと怒られる。
朝、ポンタウィーサックがホテルにやってくる。ポンタウィーサックはいつも朝にやってくる。それもいつも予定より早い。そして、いつも違う新車に乗っている。彼が参加するグループ展に連れて行ってくれる。廃墟となっただだっ広いビルを使っているので贅沢な展示スペース。美術制作の環境はよくないのに、エネルギーが溢れているという感じが90年代はじめのロンドンに似ている。PODがレコーディングをしているスタジオに寄って、再びsmallroomへ。パンダバックが届いている。もちろんたくさん。夜、やっとプラープダーに会う。もうおなじみのプラープダーお好みのラウンジは僕らのホテルにある。ひとりで本を読みながら僕らを待っている。
朝、二人乗りでプーケット最後のドライブをして、いつも夜の帰り道にだけ通るビューポイントに行き、はじめて昼間の景色を見る。犬は駐車場ではなく、人も涼む見晴らしのいい日陰にいる。これで思い残すことなくプーケットを去ることができる。バンコクでは、いいホテルが安くて取れたので今晩から2泊はちょっと豪華。その上、角部屋の大きなところにアップグレードしてくれる。ホテルの日本人女性が部屋まで案内してくれ、「ところでサワ様、水着はお持ちですか?」と聞かれ、「もちろんです」と僕。「さすがでございますね」とその女性。下手な映画字幕のような会話で笑ける。この人は1日中、こんな真面目な顔をしてこんな間抜けな会話をしているのだろうか。夜にはウィちゃんと合流して、レコードレーベルsmallroomの事務所兼スタジオ兼遊び場に出掛ける。スタジオではArmchairがレコーディング中。外では、残りのみんなで丸テーブルを囲んでチルアウト。そう言えば、ウィちゃんとタムくんともここでこんな感じで出会った。2階のレストランで夕食を食べたり、また下に降りて展覧会のショップ用にCDやTシャツを買ったりもらったり。トヨシマくん、なぜかパンダ・レコードのパンダバックに反応し、他の商品より一桁多い数をオーダーする。パンダブーム来るかも。多分、こない。

