きれいな景色を求めてピピ島へ船で向かう。海にでると、スコールを降らす雨雲を所々に発見。ビーム光線のような雨の線が雨雲から無数にのびている。僕らの船もたまに雨雲に入り、打たせ湯のような雨を浴びる。期待していなかったワイルドな楽しさ。ピピ島には観光客が押し寄せ居心地が悪いので、路地へと逃げる。その路地がたまらなく刺激的。タイが誇る機能重視のローテク建築の万博のようになっている。まさにアイデアの宝庫。ビューポントのサインを見つけ、絶景!絶景!とよろこんで登り始めると思ったより過酷な登山となる。山頂に着くと、前に飛行機から見たことのある絶景が本当に目の前に広がっている。意識の奥深く残りそうな景色。おかげで時間がなくなり、泳ぐのは船の時間まで10分づつ。貴重品の入った荷物をビーチで順番に見守りながら。プーケットに戻って、暗闇の中、近くのビューポイントに行ってみると、駐車場の同じ場所に犬が寝ている。その犬は昨日も暗闇の中、全く同じ場所で寝ていた。
July 2004アーカイブ
午前1時25分、人気(ひとけ)のない関空から南に飛び立つ。向かうはプーケットにあるタムくんの別荘。「ナイハン・ビーチのナイハン・ヴィラと言って空港からタクシーに乗れば大丈夫です。管理人にも電話しましたよ」と出発前日にタムくんはOKマークを作って笑った。タクシーにタムくんに言われたように告げると、運転手は本当にタムくんの別荘を知っている。雨期のプーケット、朝5時半。最南端のビーチに到着するまで、洗車されているのかと思うほどの激しい雨に何度か見舞われる。それも突然やってきて、突然止む。展覧会のミーティングをプラープダーがバンコク以外でやりたい、と楽しいことを言ってくれたので、首脳会談のようにプーケットの別荘を借りたのに肝心のプラープダーが台湾に行くことになってしまい、ミーティングはバンコクまで持ち越されることに。急遽、僕とトヨシマくんの撮影&コンセプト固め&ダイエット合宿となる。まずは、それぞれの部屋とバスルームを決め、家に馴染む。決して豪華ではないけれど、東欧の別荘風でかなりいい感じ。カウリスマキの映画にでてきそうなラウンジ、エアコン、電話回線、プロパンガス。十分すぎる環境。最小限の装飾の家で、台所の壁にはトップレスの南国風(ハワイ風)女のピンナップ。写真はかなり古いけど笑顔はそのまま。プロパンガスを試したいのと、お茶を飲みたいから火にかけたやかんの水が沸くまで、ボーっとその笑顔を見つめながら、ナイハン・ビーチに馴染んでいく。シャワーを浴びているあいだにトヨシマくんが近くから原付バイクを借りてくる。1日400円。早速、二人乗りでプーケット島の南半分を走り回る。いくつもの山上にあるビューポイントを制覇。山の上から見た海がたまらない。あ〜。こんな気持ちになる展覧会を作る予定。しかし、計160キロの二人を乗せたバイクは一番高い山を越えることができず、途中から歩いてパイクを押すことに。残るは減量。
台風6号が家のベランダからも見える明石を通過する。大阪湾を挟んで和歌山や淡路島に面している家のベランダに立っていると、台風がやって来る感じを体感する。ベランダで強い風を浴びていると、立っていられないくらいに強い力で持ち上げられる。気圧のせいか、気のせいか、耳がつーんと痛く頭がしめつけられる。台風が日本海に抜けるころには、空気が浄化されたのか、和歌山まではっきりと見える。目が急に良くなった感じ。
季節外れの大型台風が近づくなか、夜遅くにタムくんの家に行く。玄関に数百冊の手塚治虫のマンガが積み上げてある。どう見ても古本ではない。タイに日本のマンガ図書館を開館するらしい。タムくんはまだ読めない漢字もたくさんあるからと数冊貸してくれる。海のトリトン1〜3。マンガを友達から借りるのは小学生以来。
週末ということで、昨晩は一緒に麓の家に付いて帰ってしまった。3人で駅から自転車に乗って家に帰る。気持ちいい。僕の生活に欠けているなにかがここにある。なんやろ?週末という感覚?通勤?朝起きて、そうめん食べて、やっと家に帰る。ふたりは旅行代理店に向かう。
プラープダーが脚本を共同で書いた映画『地球で最後のふたり』の試写会。クリストファー・ドイルの静かで美しい映像が映画を引き締めている。何も起こっていないシーンでも見入ってしまう。音の使い方もすばらしい。浅野忠信さんが演じるケンジがノイに家に行ってもいいか、と尋ねて映画のタイトルがでるシーンが一番のお気に入り。夜は久し振りに元千里中央のデヴィット・シルヴィアンこと幼なじみに麓となおちゃんに会う。やっと新婚旅行に行くらしく、計画を一緒に練る。正月や休みには中学校の頃の同級生で旅行をするので、ふたりだけで旅行に行ったことがないという。僕も当然のように新婚旅行に誘われていたけど、タイに行っている時期やし、自分の新婚旅行すら行ったことないので行かないことにする。ナポリとカプリ島だけにするのか、パリにも少しストップオーバーするのか、何日休みを取るのか、社長の言うことを聞くのか、もめていても楽しそう。え〜な。
父親の実家のある丹波篠山の倉庫でロンドンから送った400キロの荷物と対面。箱を開けて、詰め直す。すごい意外な場所で友達にあった感じ。異郷の地で荷物と僕にしか共有できない思いを抱きながら、イギリスを想う。荷物を持って腰が痛みだしたので、帰りには今田に新しくできた温泉に寄ってみる。天井が高いのが素晴らしい。露天も裸で歩き回るのが不安になるほど広くて立派。Niftyの温泉投票で全国1位らしい。
再び晴天。梅雨の合間の晴れ間らしい。しかも、平日。どこかに行かないともったいない。梅田から昼過ぎのバスで白浜温泉へ向かう。海に張りでた温泉も、キムタクと柴咲コウがワイキキという設定でラストシーンを演じた白良浜も美しすぎる。和歌山には海も山も温泉もある。白浜から大阪までバスで3時間弱、関空まで2時間。南紀白浜空港からは羽田まで1時間。世界の中心かも。
肥後橋の本屋CALOが入っているビルに綾さんがギャラリーを移転して初の展覧会。木村伊兵賞を受賞したばかりの澤田知子さんのオープニング。大阪の写真展のオープニングにこんなに人が来るのかというくらい人が押し寄せている。パンがかなりおいしい。なぜかたこ焼きまである。なんで?なんでたこ焼き?のなんで?より、なんでこんなにおいしいん?のなんで?grafまで歩いてチアコ、タムくん、豊田佳子というとても変わった組み合わせで、意外にもとても楽しく夕食を食べる。
ものすごくいい天気。大津駅に降りると夏休みな感じが漂っている。駅ビルにどうも時代に取り残されたであろう、なんともいい感じの喫茶店を見つける。びわ湖を横目で眺め、昼食を食べながら展覧会のミーティング。トヨシマくんの定食に付いてきたうどんを100円で譲ってもらう。お互い得した気分。ミーティングもうまくいく。うどん効果。駅からびわ湖に向かって下る道はまるでマルセイユの坂道。びわ湖ホールでラララヒューマンステップスを観る。ロンドンで観たのが85年のはずなので、なんと19年振り。相変わらず動きは超高速。帰りはみんなと別れて、ダムタイプのヨウコさんと湖畔でコーヒーとケーキ。夕方なのにまだ眩しい。う〜ん、夏のバカンスっぽい。
ハカセの結婚披露宴で噂のバンドHYDE PARKのデビューライブを観てしまう。衝撃的、でもどうなんやろう。
24時間の心電図検査も終了。結果はそれほど心配することなし。よかった。夜は京都であまり馴染めない感じのパーティー。何人かで抜け出して、タクシーをとばして住宅地の中にある隠れ家のようなところで夕食。いつものメンバーともちょっと違い、とてもいい感じ。ちょっと逃げて来た感じもいい感じ。帰りの電車では木ノ下さんを同じ車両に見つけるも、気持ちよさげに泥酔なさっているので、声を掛けずに見守ることに。でも彼女が降りるであろう一駅前で起こしてあげる。ええことした。
半年に一度の心臓の検査。ロンドンのセントメリーズ病院でも地元の病院でも検査では陽性とでるのに精密検査などでもはっきりした原因は見つからない。10年前には股の動脈にメスを入れ、心臓まで管を通してカテーテル撮影をして、動脈を閉じるまでに48時間身動きの全くとれない状態が続くというあまり心地良くない検査までしたのによくわからない。最近は高度なMRIで楽にできるらしい。今回は負荷心電図、超音波、24時間心電図というごく普通の検査。夜は24時間心電図の装置を付けたまま、実家で両親と夕食を食べて、テレビを観る。葬儀に関する番組。ええ機会や!ということで、それぞれが死んだ場合を想定して葬式のリクエストをだし合う。今後、気が変わるごとに更新してもよいという約束。誰かが死にそうな病気になってからはなかなか話し難いトピック。それぞれの趣味の違いなど若干あったものの共通した考えは、簡素がよくて、花を添えてもらえればうれしく、成仏しやすいであろう方法を残った者たちが知恵を出し合って考える、という感じで大筋合意に達する。なんかみんなすっきりした顔をしている。我が家は、特に信仰する宗教もなく、特に引き継ぐ伝統もないごくありふれた日本の家族。正直どうしていいか分からない。悲しいような気軽なような。インドで聖なるガンジス川に架かる鉄橋を電車で通過したとき、同じコンパートメントにいた乗客数名が各自かばんからビニール袋やネスカフェの空き瓶を取り出し、中に入っていた家族か親戚のであろう遺灰を窓から撒きだした。そしてガンジスを見つめた。なんかインド人がうらやましかった。
夕方からともだちと映画を観て、軽くイタリア料理を食べる。ごくありがちなようで僕の日本での生活ではあまりないパターン。早めに家に帰ろうか、でも物足りないと一つ先の駅に向かって歩いていると、鶴田真由ちゃんが電話をくれる。これもあまりない展開。大阪に来ているというので、grafに集合してソクラテスでソーダを飲み、店が閉まると事務所の一角を借りて、終電まで話し込む。日常の生活も意識も違うけど(趣味は意外と合ったりする)、いつも掘り下げると必ず共感できるところにたどり着く。友達というより、仲間のような、同志のような。同じ星から来たような。
コーラC2日本先行発売日は自宅で迎える。味はそのままでカロリー半分らしい。でもそんなおいしい話があるはずがない。後味がやっぱり許せない。これならコーラの量を半分の方がいい。そもそも、割とおいしかった日本のコーラもからだに悪いケミカルの料が減ったのか、味が落ちている気がする。水との絡みもよくない。フランス産などに比べるとまだましやけど。コーラならソムリエになれる自信はある。と言いながらも実はコーラはあんまり飲まない。
公演前のマイケル・ナイマンと久し振りに大阪で会う。楽屋に並べられた豪華なサンドイッチやフルーツはお口に合わないのか、何か食べないかと誘われ外にでかける。あまり歩きたくないというので近くで普通の豚骨ラーメンを食べる。ナイマンの麺はピチピチ跳ねまくり、ステージ衣装のシャツに豚骨スープをいっぱい飛ばしながらも笑顔で完食。しかし、店をでてから様子がおかしい。喉に何かが詰まっているらしく、シンフォニー・ホールの前でゲホゲホやっている。なんと、アスファルトの上にはもやしが1本。ラーメンを食べてもやしが喉に詰まる人を初めて見た。これで唄える!(唄う人ではない)とナイマンの顔には笑顔が戻り、みんなも笑う。コンサートと夕食の間に梅佳代のオープニングに駆けつける。ちゃんと展示できてる!連続写真という困難なテーマでも梅佳代らしさをだしている。ナイマンたちとの夕食に戻り、おじさんのゴシップに耳を傾ける。なんか懐かしい光景。この人とも一緒にいろんなところへ旅をした。旅行をすると毎晩、冗談とゴシップ。下世話な話もたくさん聞いてきた。

