30 september 2008






Nobody presents Blank Blue / Western Water Music vol.1


ubiquityからリリースされたLA発のアトモスフェリックなヒップホップ/ダウンテンポ。
Blank BlueはプロデューサーのNobodyとNiki Randaという女性ヴォーカリストの2人からなるプロジェクトで、エンジェリックなヴォーカルの魅力を前面に押し出した、どちらかというとポップなアプローチ。ベースラインはヘヴィだけどドラムは緩め、全体的にビートは控えめにアコースティックギターやストリングスなど生音を巧みに引き立てている。
‘90年代のブリストル・サウンドの流れを汲むダウンテンポだけど、ブリストル勢の深い憂愁はないかわりにウエストコーストらしい明るさと澄み切ったヴォーカルの瑞々しさが心地いい。
楽器やコーラスの使い方など’60年代サイケデリアの匂いが濃厚でオリエンタルな雰囲気も。
このアルバムにはストーリーがあって、ハルマゲドン後のLAで生き残った人たちが汚染された毒キノコを食べて以来、海の中でも息ができ、生活できるようになった・・・というシュールなお話。食べてみるもんです。







Carlos Nino&Lil Sci / What’s The Science? Elevation


上記のNobodyやFlying Lotusと並んで現在注目されるLAのトラックメイカー/プロデューサー、Carlos NinoがMCのLil Sciを迎えて制作したアルバム。
Carlos NinoはDeadelousのプロデュースやAmmoncontact、Build An Arkなどですでに有名人だけど、本人名義のアルバムとしてはこれが2枚目になるようだ。
ゲストにFlying LotusやDeadelous、その他Carlos Ninoがこれまでに関わったミュージシャンが多数参加。ミックスにはNobodyの名前もあったりして、まるでLAのアンダーグラウンドを華やかに彩る面子がこの1枚に集結したかのよう。
生演奏、サンプリング、エレクトロニクスを自在に操り、ヒップホップとジャズ/フュージョンとエレクトロニカを奔放にミクスチャーした新世代のヒップホップ。この雑食性はありそうでなかった感じで面白い。
Pharoah Sandersの『You gotta have freedom』をネタにした『freedom』がなんとも印象的。






19 september 2008



Skream / Hedd Banger,Percression – ep




いつものtempaではなく、ブリストルのtectonicからリリースされたSkreamの新作12″。 Missy Elliotをサンプリングした『Hedd Banber』とテクノっぽい『Percression』が収録されているが、たしかにこの2曲のカップリングだとtectonicのほうが合っている。 沈み込むように重くドープな『Hedd Banger』、ハードなダブテック路線で新しい側面を見せる『Percression』・・・どちらも溜め息が出るほどかっこいい。やっぱりこの人って 凄い。


The Bug / Poison d’Art – ep



アルバム『London Zoo』からシングルカットされたThe Bugの『Poison d’art』。 ダブステップの歌姫Warrior Queenをフィーチャーしたアルバムでもいちばん目立っていた曲なのだけど、シングルはRemixがSkreamとオーストリアのStereotypと いうナイスな顔ぶれ。この2人のミックスに加え、アルバム未収録の『Stamp In』が収録されている。 限定盤のほうはカヴァーが特殊ビニール、180gもあるヘヴィウエイト盤。こんなに重くて厚いヴィニールって滅多に見ないなぁ。

3 september 2008

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The Bug / London Zoo

ninja tuneから繰り出された強力な一発、Kevin Martin a.k.a The Bugのフルアルバム。
soul jazz recordsからソロEPもリリースするWarrior Queen(かっこいいっ!まさにダブステップの女王)、Kode9とのコラボでも有名なSpaceape、Flowdan、Ricky Rankingなど豪華なMC陣をフィーチャーしたポップでカラフル、しかし超重量級・エッジィなダブステップ/ダンスホール。強烈に個性豊かなMCをまとめあげた手腕は凄い。
今までにないユニークで新しい、ダブステップ以降といった感じのデジタル・ダンスホール。今後のシーンにも影響を与えるのでは。
彼の別プロジェクトLady Bug、King Midas SoundやCult Of The 13th Hourのほうも楽しみだ。

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Quantec / Unusual Signals

デンマークのechocordというレーベルからリリースされたBasic Channelの流れを汲むアンビエントなミニマル・ダブ。
良くいえば渋い、悪くいえば地味。
削ぎ落としたように音数の少ないシンプルなサウンド、ダブっぽいエコーもあまり目立たせず控えめ、繊細なプロダクションで聴きやすい。デトロイト・テクノの影響も感じられる。
それにしても最近のデンマークはどうなってるんだろう。
ミニマル/ダブテックが続々!?

23 august 2008




Basic Channel / BCD1,BCD2

ミニマルダブの傑作中の傑作として名高いBasic Channelのシングルを集めたベスト盤。
先頃発売されたvol.2に合わせて、vol.1のほうも再発。’93年から’95年の彼らの作品が収められている。
延々とループするミニマルなテクノなのだけど、トライバルなパーカッションやダブ効果、抑制された少ない音数の中で次第に増していく高揚感に圧倒される。
最近のミニマルダブが生ぬるく感じられるほどアグレッシヴでヘヴィ。しかも選ばれた音ひとつひとつが研ぎすまされ、細やかなスクラッチノイズ、そしてディープなエコーによるアンビエント感が全体を覆っている。
これら12″が後のテクノやエレクトロニカに与えた影響がどのくらい大きなものだったか。フォロワーはたくさん出て来ているけど、何を聴いても結局ここに戻ってきてしまうのだ。ごくシンプルな構成なのにこれ以上手の加えようがない完成度。
CDの裏にbuy vinyl と書いてある通り、本来はアナログで聴く音。でもこうしてCDにまとめて発売されたのはやはり嬉しい。
Basic Channelのメンバーは’80年前後にドイツのインダストリアル系バンドPalais Schaumburgに在籍している。当時大好きなバンドのひとつだったので、思えば長いスタンスで聴いているアーティストなんだなぁ。

richardhkirk.jpgのサムネール画像
Richard H Kirk / The Number Of Magic

懐かしいついでにもう1枚。
‘95年にwarpから発売されたRichard H Kirk。最近聴き直してやっぱりいいなと思ったアルバムだ。
Richard H Kirkは’80年代に注目されたインダストリアル系バンド、Cabaret Voltaireのメンバー。テクノ/トランスの陶酔感と冷たいファンクが融合したようなCabaret Voltaireのサウンドだったが、このソロアルバムでもジャズやラテンやダブ、それに彼らしいオリエンタルな要素を織り交ぜて、独自のエレクトロを展開している。
‘90年代らしい音だけど、さほど古くも感じないのは雑多なミクスチャー感覚のせいだろうか。
蛇足ながら、オリエンタルなメロディをサンプリングした’80年発売のCabaret Voltaireの12″『three mantras』はタイムレスな傑作(だと思う)。当時買ったアナログ盤は今も宝物の1枚だ。

14 august 2008




V.A./ Steppas’ Delight


名門Soul Jazz Recordsによるダブステップのコンピレーション。
昨年から『Box Of Dub』シリーズを2枚、他にもBengaやSkream、Digital Mystikzなどのシングルを出すなど、最近は特にダブステップのリリースに力を注いでいるようだ。
映画『7人の侍』の音楽をサンプリングしたKode9や目下注目のヴォーカリストWarrior QueenをフィーチャーしたThe Bug、デビュー・アルバムが好評のBenga、Shakeltonなどシーンの人気アーティストの他、ユニークなニューカマーがずらり。
ルーマニアのTRG、日本からGoth Trad、19歳のJoker・・新鋭アーティストたちの曲が面白かった。
今までのダンスミュージックのシーンに比べると平均年齢が若く、子供の頃に2ステップを聴いていたという20歳前後のミュージシャンが大半だ。
このコンピを聴くと『Box Of Dub』の頃よりもダブを基軸にさらにシーンが拡散し、より実験的でミクスチャー度も増しているような気がする。
ヒップなアートワークはいかにもこのレーベルっぽい。





2562 / aerial


Pinchが率いるブリストルのレーベル、Tectonicから1stアルバムがリリースされた2562。
ダブステップとミニマルダブが融合したようなテクノ寄りの洗練されたサウンド。
ベルリン・ダブの流れを汲む、細やかな音の粒子が飛び交うディープな音響は、ダブステップのみならずテクノやエレクトロニカのファンにも幅広くアピールしそうだ。
デンマークのレーベルStatler&Waldorfがリリースしているいくつかの作品がBasic Channelを正当に継承するものであるとするなら、このアルバムは更に一歩踏み出して、ダブステップのダイナミズムを得たような感じ。
大概ダブステップのミュージシャンたちは本名を使わないから変わった名前の人が多いけど、2562は住んでいるオランダのハーグという街のコード番号なのだとか。
ジャケを見るとタイトルかと思ってしまうこのネーミング、なかなか新鮮!?




18 july 2008




Ben Frost / Theory Of Machines


bedroom communityというレーベルからリリースされているアイスランドのアーティスト。
轟音ギターがヘヴィに鳴り響くポストロック+エレクトロニカ+ドローン、に加えて現代音楽やジャズなどの要素も感じられる。
かなりエキセントリックなところもあるけど、シンセが幾層にもレイヤーされた耽美なドローン・アンビエントと暴力的なノイズのコントラストが見事。音のヴォリュームの強弱も激しく、荒々しいドラムの音の凶暴さに耳を強打される。それぞれの音のバランスの取りかたや空間の作りかたがすごく巧い人なんだと思う。
壮大に盛り上がりそうで盛り上がらない、逆にクールダウンしていくような展開もかっこいい。
最後の曲はエレクトロニクスが織りなすシンフォニー。マイケル・ナイマンみたい!?





V.A. / Kranky Kompilation


シカゴのポストロック/音響レーベルkrankyが’04年にリリースしたレーベルのサンプラー。
Stars Of The LidやPan Americainなどレーベルの看板アーティストのほか、Charalambides、Clear Horizon、Strategy、Autistic Daughterなど18アーティスト、21曲が2枚に収録されている。
4年前のコンピだから、最近のリリースとは少し趣が異なるけれど、やはりStars Of The Lidの及ぼす影響力というかこのレーベルにおける存在感は大きいと思う。
Kranky入門編としてもおすすめなコンピ。





Alpha / The Sky Is Mine


一体どうしちゃったのかな・・?Alphaらしいダブの要素やメロディの複雑さや暗さがほとんどなくなって、すごくクリーンで耳馴染みのいいポップスになってしまった。
どの曲も同じに聴こえるし、ヴォーカリストだって前の唄ものアルバムと変わっていない。今までと違うところはピアノが多用されていることぐらいだろうか。
たとえばジャジーなポップソングならば、シネマティック・オーケストラのほうが断然アドヴァンスしているし、現代的だ。
これはプロモ盤2枚組で、CD2のほうにボーナストラック数曲とリミックスが収録されているのだけど、オリジナルよりそちらのほうがまだいいっていうのもなんだか悲しくなっちゃうなぁ・・・
リミックスしてるLanguisっていうアーティストはよかった。




05 july 2008




Flying Lotus / Los Angels


先行で発売されたEP『reset』を聴いて以来楽しみにしていた、Flying Lotusのwarp契約後のフルアルバム。plug researchから’06年にアルバムが1枚リリースされているので、これが2枚目のアルバムになる。
ヘヴィで粘着質なグルーヴの中にインテリジェンスが見え隠れする、いかにもwarpらしい作品。エレクトロニカ側からヒップホップへとアプローチしたようなところはPrefuse73に近いような気がするが、この人のほうがビートへの意識が強く、全体に退廃的でダークな雰囲気を漂わせている。
アナログノイズとスモーキーなシンセがレイヤードされた、ちょっと懐かしい感じのオープニングからラストのフォークっぽいヴォーカル曲まで、シネマティックなムードで曲をつないでいくところなど、とてもセンスがいい。
ヴァラエティに富んだビートの面白さは勿論だが、3曲だけ収録されているヴォーカル曲がいずれも素晴らしく、ヴォーカリストの選び方やヴォーカルとトラックのマッチングなどから、この人はビートメーカーというより根っからのミュージシャンだという気がする。
これはもうヒップホップのネクストステージであり、ヒップホップのみならずポップミュージック全体の未来を占う1枚になることは間違いなし。warpが最近契約したアーティストの中でもBattlesと並んで規格外のスケールのように思える。
蛇足ながら彼の叔父さんはあのジョン・コルトレーンだとか(!)・・彼を育くんだ豊かな音楽環境が、このアルバムのジャズ要素に加え、ジャンルレスな奔放さを生んでいるのだろう。





Pellarin&Lenler / Going Through Phases


statler&waldorfから’06年にリリースされたLars Pellarin+Kim Lenlerのダブルネーム・アルバム。
このレーベルらしい、ダビーなエレクトロニカ。抑制のきいたダブ処理はダブのアーシーなイメージを払拭し、Basic Channelを彷彿させる硬質なビートが浮き上がってくる。
Apparatのアルバムでもお馴染みのRaz OharaやAntenneなどをフィーチャーしたソウルフルなヴォーカル・トラックも他にない感じで、かなりユニーク。ヴォーカルの暖かみは極力押さえられ、スカスカしたダビーなトラックとの相性はひどくクールで地味と言えなくもないが、このレーベルらしい冷たい空気感は心地いい。
中でもM-6のヴォーカルとトラックの奇妙なズレ加減は、冗談とも本気ともつかず面白かった。
Pellarinのソロアルバムに比べるともう少しアコースティック。最近のフェヴァリット!