Archive for 2月, 2006

27 february 2006






Battles / EP C/B EP


シングルを聴いて以来、アルバム発売を楽しみにしていたBattlesのデビュー・アルバム。
過去のシングルの寄せ集めということでマキシシングル2枚組のような形態をとって発売された。
Gravenhurstと同様にクラウトロックの影響を感じさせながら、さらにミニマルミュージックやエレクトロニカが混ざり、そのブレンドの異質さがとてもスリリングで新しい。
ポストロックという言葉から私たちが思い浮かべる今までのイメージとはかなり違う。エレクトロニカ以降の電子音を絡めながらも手法的にはギターバンドに回帰していて、ヘヴィで攻撃的なドラムにミニマルなギターが重なり、そこに細かなエフェクトがかけられている。変則的なリズムの曲もマニアックで面白い。
クラウトロック、プログレ、ミニマルミュージック・・とくればイメージソースは’70年代だけれど、懐古的な感じはいっさいなく、むしろ今まで聴いたことがない新しさと他にない唯一無比の個性がなんだか凄い。形式化しつつあるポストロックの起爆剤になりそう。





Sutekh /Born again


自らのレーベルcontextを運営しながらサンフランシスコをベースに活動するSutekhの’99ー’05年のリミックスワークを集めた2枚組アルバム。
つい最近contextのほうからリリースされたミックスCDはクールなテックハウスという印象だったけど、こちらのほうはリミックスワークということもあってポストロックのようなものからダブ、テックハウスなどいろんなタイプの曲が入っている。
変わった独特の電子音を組み合わせる人でミニマルなようでいてそうでなく、かなりエクスペリメンタルといっていい。曲によってはHerbertに近いかも。
contextのほうから出たミックスCDとともに最近よく聴いているアルバム。




24 february 2006



nnnのコレクションF/W 2006-2007















ミラノのショールームBreramode





Astor Piazzola / Tango zero hour


今回のコレクションのテーマは音楽ネタでいこう・・と言うnnnに提案したキーワードーースカ、パブロック、ゴシックインダストリアル、ウッドストックフェスティバル、Josephine Baker(ジャズ) etc.ーーの中からnnnが選んだのはタンゴ、そしてピアソラ。
19世紀にアルゼンチンの酒場で生まれたタンゴは20年代にガルデルという人気歌手の登場によってヨーロッパでも盛り上がり、次第に庶民のものから上流社会へと浸透していく。
ピアソラが現れるまでタンゴはダンスに添えられる伴奏ぐらいの認識しかなかったようだが、ピアソラによってクラシックやジャズの要素が革命的に導入され、音楽ジャンルとして確立された。といってもその道のりは平坦ではなく、ピアソラは地元アルゼンチンでは『タンゴの破壊者』と揶揄され、彼のタンゴは”戦うタンゴ”と言われ続けるのだが。
American Claveからリリースされた『Tango zero hour』はKip Hanrahanをプロデューサーに迎えた紛れもない20世紀を代表する大傑作アルバム。雑踏の音にピアソラのバンドネオンの音色が入ってくるオープニングからラストまで緊張感の連続で、まるで演奏者と直に対峙しているかのような気迫が演奏から伝わってくる。タンゴのエキゾティックな甘さや切なさというより伝統に対して破壊的であり続けたピアソラらしい激しさだ。
『Tango zero hour』とは24時間のあとに始まる時間。”絶対的な終わりであると同時に絶対的な始まりである時間”なんだとか。




17 February 2006






Sutekh / Context unreleased


Leafレーベルからもリリースしているアーティスト、SutekhのミックスCD。
ミックスCDといっても収録されているほとんどの曲は彼のレーベルcontextのミュージシャンのもので、このアルバムのためにリミックスやリワークしたものが多い。
ソリッドなビートにユニークな効果音をのせたテックハウスからデジタルで破壊的なダブへと変化していく中盤がすごくかっこいい。エレクトロニカ、ハウス、テクノ、ダブが渾然一体となったダンスミュージック最前線な1枚。





Mossa / Some eat it raw


パリのレーベルcircus companyからリリースされたモントリオールをベースに活動するMossa(aka Jeremy Petrus)のデビュー・アルバム。
ミニマルなフロア向きのハウスが中心だが、ファンキーなエレクトロっぽい曲も。ミニマルだけど抜群のエディットセンスが退屈さを回避している。
今月からヨーロッパツアー。





Birdy Nam Nam


DMCワールドチャンピオンのフランス人DJ4人からなるグループ。
ドラム、ベース、メロディーすべてをスクラッチ音で作ったターンテーブルの妙技。しかしテクニック的というより音楽的なところがこの人たちの強みだろう。
ヒップホップはもちろんジャズ、ロック、エレクトロニカ・・ターンテーブルを使った新しいアプローチが面白い。
このヘンなグループ名、じつはフランスのアイスクリームメーカーと同じ。




4 february 2006






The Dolls


Craig Armstrong、Vladislav Delay、Antye Greieの3人からなるプロジェクト、The Dollsのファースト・アルバム。
『Piano works』『film works』と昨年は過去のベストとも言える作品が立て続けにリリースされたCraig Armstrongだが、サウンドトラック以外の新作は約4年ぶり。
クレジットが何もないので詳細は不明だけど、おそらく彼がピアノを、前作『As if to nothing』にも参加したAntye Greieがヴォーカルを、そしてVladislav Delayがトラックを作っているのだろう。
Craig Armstrongが弾くピアノのフレーズは坂本龍一なみにわかり易い個性があって(それは映画音楽家としては必要不可欠な要素だ)、どんな曲にのっかっていようがそのフレーズが彼の存在を強力にアピールする。このアルバムでもヴォーカルの脇役に徹しているようでいて、実際次々と耳に飛び込んできたのはピアノのフレーズだった。
即興的な感じのヴォーカルとピアノは複雑で、とりとめなく変化するメロディーが現代音楽を思わせる。Craig Armstrong名義のアルバムのようなポップさを期待したら裏切られる。





Coldcut / Sound mirrors


前作からなんと9年ぶり・・・その間Steve Reichのリミックス・アルバムですごくいいリミックスを披露してたけど、新作アルバムは本当に久々のColdcut。
有名ゲストが多数参加した、多少何でもありのバラエティーなアルバムと言えなくもないのだけど、これまでサンプリング主体だった彼らには珍しく唄やラップが前面にフィーチャーされている。
音もリズムもべつに新しいところがあるわけではない。これまで通りヒップホップがベースのColdcutらしいラフなサウンド。
熱くロックンロールするJon Spencer+骨太なベースラインがクールな『everything is under control』がかっこいい。
パリのライヴは3月3日Cigalleで。