26 march 2009



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Telefon Tel Aviv / Immolate Yourself


サンフランシスコのデュオTelefon Tel Avivの待望の新作にしてオリジナルメンバーとしては最後のアルバム。
最後というのはデュオの片割れ、Charles Cooperがアルバム発売前日に亡くなったため。解散ならあきらめるけど、このニュースは悲しすぎて……
おまけにこの最後のアルバムが新たなページを開いた感じで、面白いと思っただけに何ともやりきれない。
時代の空気を巧みに読みながら、それを自分たちのサウンドの中に溶かし込んできた彼ら……前作とは打ってかわって今度は’80年代前半のエレクトロ/ニュー・ウェーヴの香りがたっぷり。’80年代のブルー・アイド・ソウルっぽいニュー・ウェーヴへと触手を伸ばすような動きも少し感じられる今、このアルバムはすごく新鮮な感じがする。
一周回って誤解されそうな場所だけど、あえて正面からキッチュなニュー・ウェーヴに取り組んだ勇気はさすが。
デビュー当時からグリッチらしい音を出す人たちだったけど、もうそんなことには興味がなくなったのか、従来のグリッチからは完全に抜け出している。
今や大量に売れるポップ・ソングですらグリッチっぽいものは溢れていて、あのグリッチの音が少々古く感じられる時期にきているので、これは大正解かと。
前作の評価とセールス的成功でそのスタイルを決定したのかと思いきや、あっさり次のステージへと向かう姿勢には拍手を送りたい。
Joshua EustisひとりになってしまったTTA…ぜひとも続けて欲しい。






helios

Helios / Caesura


UKのレーベルTypeからリリースされた静謐で美しいエレクトロニカ/アンビエント
作品。
アコースティックギターやピアノのメランコリックな旋律がシンプルで硬質なビートと絡み合い、柔らかなシンセがレイヤーする。
それぞれのパーツが主張しすぎず、サラリと聴いてしまえるところは地味といえば地味だけど、眺めていると少しずついろいろなものが浮き上がって見えてくる淡いパステル画のように味わい深い。
ジャケットは冬の風景だけど、今の清冽な早春の空気にしっくりくる気がする。



20 February 2009



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Murcof / The Versailles Sessions


素晴らしすぎるMurcofの最新作!
『The Versailles Sessions』というタイトルのこのアルバムは、2007年にヴェルサイユ宮殿で行われたイヴェント、”Festival Of Sound,Light and Water”の為に制作されたサウンドのドキュメント。おそらくLiveの録音ではないだろうか。
前のアルバムも最早エレクトロニカというジャンルでは表現できないものになっていて、SF映画のサントラみたいだなぁと思ったけど、これは一層すごい。
武満徹みたい!まるで現代音楽だ。
ヴィオラやハープシコード、メゾソプラノを使った初期バロック風音楽。そこに尺八みたいな笛(フルート?)がアブストラクトに入ってきて、ものすごくアヴァンギャルドなバロック音楽になっている。
時おり挟み込まれるのは17世紀フランスのバロックの音楽家Marin Marais(アラン・コルノーの映画『Tous Les Matins Du Monde』で描かれた音楽家)の曲のフレーズ。
初期バロック音楽の規律正しさと深い憂愁が、宇宙のようにだだっ広い音の空間の中に見事に再現されている。不思議なことだけど、こんなにバロック音楽と宇宙的なものの相性がいいとは思わなかった。
こんな心底ヨーロッパ的な音楽を作る人がメキシコ人だなんて不思議な感じがするけど、神秘的というか魔術的というか…そういう部分でメキシコとヨーロッパは案外似ているのかもしれない。
さて、次はどんなアルバムを作るんだろう。




fennesz

Fennesz / Black Sea


何枚目になるのかわからないけど、Fenneszの新作。
叙情的で、聴けば聴くほどじんわりと心に染みる。
繊細なノイズが重なり合い、さざ波のように拡散していく。そしてその隙間から現れるギターの音色がなんともドラマティック。
このジャンルの特徴でもある映像的、情景的というより、歌をもった音楽のようにもっとダイレクトに人の心にコミュニケートしてくる感じ。だから純粋にアンビエントと呼べるものではないかもしれない。
シューゲイザーのようでもノイジーな凶暴さはないし、柔らかく、メロディが美しい。そして不協和音がないせいか聴きやすい。
クラシック好きな人でも気に入るんじゃないだろうか。
いいアルバムだなぁ、これ。何度もリピートしてしまう!









5 February 2009

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Deerhunter / Microcastle-Weird Era Continued


アトランタの5ピース・バンドDeerhunterの3枚目(ミニアルバムを入れたら4枚目)。これまで同様にkrankyレーベルから。
かなりメロディアスになり音もクリアになって、随分と聴きやすくなったなぁという印象。
前作の『cryptograms』はもっとノイジーだったし、混沌としていて、インストのドローンなんかも何曲かあった。音響系のレーベルから出すのも頷けるようなエクスペリメンタルな部分があり、面白いバンドだな・・と思っていた。
しかし、このアルバムはヴォーカルが以前より前面に出ているせいかヴォーカリストのBradford Coxのイメージが強い。ほとんど彼のソロ・プロジェクトAtlas Soundの延長線といってもいいだろう。
Deerhunterには『cryptograms』の路線を期待してたので、あれれ・・?と最初は肩すかしに感じたけど、これはこれで嫌いじゃない。
Bradford Coxのヴォーカルが甘くsexyでいい。彼の作るメロディーもいい。
・・いいのだけど、このままだとAtlas Soundと大して変わらなくなってしまわないかと心配だ。




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Feedle / All Your Days Are Weird


UKのシェフィールドのアーティストGraham ClarkeのプロジェクトFeedle。
サイケでメランコリックなシューゲイザー+エレクトロニカ+ブレイクビーツ+アンビエント・・といろいろ混ざったクロスオーヴァー。
インストなのに歌心を感じるメロディアスなサウンドにゆるいビートが心地よい。ノイジーなんだけど、全体的にメロウな感じ。
MBVが生んだ子供達のひとりといっていいだろう。Ypahhに似てる。
もうこの手のサウンドはいっぱい聴いたし、Ypahhを聴いたときほど新しいとも思わない。でも少しずつ進化してる気はする。




thecoralsea

Patti Smith&Kevin Shields / The Coral Sea


音楽界のカリスマ同士がタッグを組んだ企画モノで、’89年にエイズで亡くなった写真家Robert Mapplethopeへのトリビュート盤。
延々と続くパティのモノローグにケヴィンのノイジーなギターが絡む、なんだか詩の朗読会にBGMがついたようなアルバムだ。
結論から言うと安易なファン向け企画・・・いや、詩の朗読が好きな人は別にして、これではファンだって喜ばない。
デレク・ジャーマンの最後の作品『ブルー』を見たときの“忍耐”を思い出してしまった。
聴衆不在というか作ることを最初から投げてるというか・・・
もっとがんばってよ〜、ケヴィン。↑のFeedleみたいなフォロワーもいっぱい出てきてるんだからさぁ。



17 january 2009

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Skull Disco / Soundboy’s gravestone gets desecrated by vandals


ダブステップ・クリエイター、ShackletonとAppleblimが運営するレーベルSkull Discoの12″を集めたコンピレーション。
トライバルなパーカッションが乱れ打つエスニックな感じやダークでスペイシーな空間性は前作に続き、他の誰とも違う独特の世界観を生み出している。
ベルリンのミニマルダブやアンビエントと交差するところもあり、もはやダブステップと一言では表現できない何かに進化している気がする。Shackletonの『death is not final』や『shortwave』は圧巻。
disc2はMonolakeのメンバーT++やPole、Geiomなどによるリミックスを収録。最後の曲のBadawiがディープ(本当に沈み込んでいくような感じ!)でかっこいい。リミックスのほうはdisc1のオリジナル・ヴァージョンの鬼気迫るオーラは感じないけど、2枚組のヴォリュームとしてはいろいろあって聴きやすい。




nomad

Headhunter / Nomad


ダブステップの代表格のレーベルtempaから新人Headhunterがリリース。
tempaは他のダブステップ系レーベルtectonicやhyperdubに比べるとわりとルーツ+ジャズっぽいイメージが強いと思ってたけど、このアーティストはかなりテックハウスに近い。ミニマルで抑制のきいた渋いアルバムだけど、グルーヴ感はしっかりある。
ジャケのセンスはさすがにtempaらしい。




watchtheride

Skream / Watch The Ride


ミックスCD『Watch The Ride』シリーズにSkreamが登場。
Skreamの未発表曲やBenga、DLX、Breakageなどが収録されている。日本のダブステップ・クリエイターGothtradによるリミックス曲も。
Skreamのショーケースを見たときやBBCラジオのエッセンシャル・ミックスを聴いたときにも思ったけど、彼のミックスは変化に富んでるせいか飽きなくて楽しい。
ダブステップのミックスCDは案外と単調で途中で飽きてしまうものも多いのだけど、このアルバムに関していうとそれはない。勿論巧く流れを作っているのだけど、1曲1曲が際立っていて、面白い曲を選んでるな・・と思う。
やっぱりSkreamは大好き!早く新譜が出ないかな。



2 november 2008


Koushik / Out My Window


カナダ出身のトラックメーカーKoushikのニュー・アルバム。
ヒップホップを基調としたビートにソフトロックやシューゲイザーを振りかけたよう。コーラスの使い方は’60年代風で懐古的だし、本人が語っていた通りMy Bloody Valentineの影響も感じられる。
この人、インド系カナダ人なのだそうだが、アルバム全体に漂うサイケデリアの匂いはいかにも彼のルーツっぽい。
西海岸のプロデューサー、NobodyのプロジェクトのBlankblueに少し似てるかも。
ヒップホップというよりはポスト・ロック的。メロディアスでポップで聴きやすい。ちょっと投げやりでアンニュイなヴォーカルも素敵。







Tommy Guerrero / Return Of The Bastard


プロスケーターにしてミュージシャン、グラフィックデザイナーでもあるTommy Guerreroの最新作。
スケーターというとなんだかハードコアな曲を好みそうなイメージがあったけど、このアルバムはアコースティックで即興的、ほどよく肩の力が抜けた感じ。
ほとんどがギターをメインにしたインストゥルメンタルで、音の少ない、スカスカした音の隙間が頼りないというよりは、そのシンプルさが魅力になっている。気持ち良さそうにギターをつま弾いてる姿が目に浮かぶような・・・
どの曲も短くて、40分たらずで聴き終えてしまう。素朴で素っ気ないぐらいだけど、不思議と飽きない。
夏の日というよりはインディアン・サマーに向いてるかな。




26 october 2008




Dusk & Blackdown / Margins Music


いかにも国際色豊かなロンドンらしい、エスニックな魅力満載のダブステップ傑作アルバム。
ロンドン在住のプロデューサー2人によるデビューアルバムで、keysoundというレーベル(まだDusk & Blackdownしかリリースしてないようなので自身のレーベル?)からのリリース。
ボリウッドにバングラ、アフロ、ジタン、ラガ・・・ユダヤからはS.ライヒ、ジャパネスクは和太鼓を織り交ぜて、その探究心、ミクスチャーぶりはとどまるところを知らず。
深〜い音響効果とヘヴィなビート。トリップホップやグライム、ダブステップやミニマル・・といろいろ混ざった、これはもはや進化系ダブステップ作品といったほうがいいかも。
ロンドンという都市の懐の深さを見せつけられた1枚。
COOOOOL!!





Various Production / Versus


タイトル通りVarious Productionの過去のリミックス作品+他のアーティストによるリミックスを集めたオムニバス。
こうやって彼らのリミックスを聴くとダブステップとポップ/ロックをつなぐVariousのポジションがくっきりと浮かび上がってくる。もちろんアンダーグラウンドなダブステップではないけれど、これほどメロディーをしっかり際立たせながら大衆性に落ち込むわけでもない。どちらのジャンルにも属しようがない、微妙な立ち位置といえばいいだろうか。
『Hater』をリミックスしたZombyはKode9のレーベルhyperdubのニューフェイス。Burialみたいにディープなアンビエント感があるので、まもなくと噂のデビューアルバムが楽しみだ。








14 october 2008




Pivot / O Soundtrack My Heart


‘90年代終わりにオーストラリア出身のLaurence&Richard Pike兄弟が結成。様々な楽器を演奏するマルチプレイヤーの2人にDave Millerというミニマルテクノのプロデューサーが加わりwarpと契約、今年8月にアルバムがリリースされた。
ドリーミィでドラマティック、タイトル通り映画のサウンドトラックのようなアルバム。VangelisとTalking HeadsとAutechreに影響を受けたとプレスキットにあるように壮大なストーリー性とミニマルなエレクトロニカというまったく異なる2つの要素が不思議な感じで混ざっている。
映画音楽やソウルやロックといったエモーショナルなものとエレクトロニックミュージックの融合は、warpのレーベルメイト、JacksonやBattlesなんかに近いかも。
しかしVangelisやJean-Michel Jarreのようにエモーショナルなシンセ・サウンドを展開するPivotはまた両者と違って、Battlesよりも伝統的、西洋音楽的なものを備えているし、Jacksonよりミニマルで抑制が利いている。
ライヴが面白そう。







Stars Of The Lid / Avec Laudenum


Stars Of The Lidの傑作がヴィニールで1000枚限定で再発! 
オリジナルは’99年にsub rosaからリリースされ、その後現在の所属レーベルkrankyからCDのみリリースされていた。
この手の音楽は無為ともいえる時間の流れに身をまかせられるか否かで好き嫌いが決まってくると思うのだけど、 私にとって彼らのサウンドは他のどのドローン系アーティストよりも快楽度が高い。
『avec laudenum』は最近の作品より楽器の編成が幾分シンプルで、ギターの音色が素晴らしい。
聴き手のイマジネーションがどんどん掻き立てられるような究極のアンビエント。
こういう音がテキサスから生まれるというのも面白い。







Craig Armstrong / Memory Takes My Hand


クラシカルなオーケストラ作品3曲を収めたCraig Armstrongの新作。
‘90年代はMassive Attackのストリングス・アレンジやポップフィールドでアルバムリリースをしていた人だが、最近はすっかり映画音楽家としてのポジションを確立している。
クラシカルというより大衆的でわかりやすく、センチメンタルな旋律が彼の個性だと思っていたが、このアルバムを聴くと今までとはかなり違う側面が見えてくる。どんどん自分のフィールドを広げていける人なのかもしれない。
ヴァイオリニストClio Gouldの為に書き下ろした1曲目や1分の曲を15曲つなげた『one minute』など、ここまでクラシカルな作品を作る人だと思っていなかったので正直驚いた。
現代の素晴らしいコンポーザーのひとりだと思う。